ふらんすいたりあ | ◆今夜も枕投げ◆

ふらんすいたりあ

 4年に1度の祭典。ついにファイナリストが決定しましたね。何も通さない鉄壁の盾と、変幻自在にボールを操る魔法使い、ナンバーワンに立つのはどちらか?にわかファンではありますが、気になるものは仕方が無い。ジダンにしかできないあのボール運びに惚れた身としては、ぜひともフランスには優勝して、彼に栄光と共にサッカーを終わらせてあげて欲しい所です。

 さて今日、ちょっと本をごったにしてい籠から、「民族世界地図」という本を見つけました。読売新聞の海外特派員を経て、各国を渡り歩いた経験も持つ著者が、世界各国の民族の歴史と現状を、それぞれ5ページ程にまとめた物。以前面白そうだと思って買ってみたはいいものの、僕はこういった辞典的な物を順番通りに読むのが妙に面倒くさい性質で、部屋の隅に放って置いていたのでした。ふと、フランスとイタリアが、この本の中でどのように書かれているか気になったので調べてみました。

 この二国だけでなく欧州にある国々は、国の密集率が大きいその環境から遠い昔から多くの民族が、移民や侵略、せめぎ会う状態が続いています。今まで自分たちが作り上げてきた文化と価値観と、違う民族が持ち込んだ異文化を、上手く兼ね合いながら、自国のあり方を形成して行く事を繰り返してきました。イタリアとフランスもその例外ではありません。しかしそれぞれの歴史上において、自国へ流れ込んできた移民達への対応は、各国とも全く違うものでした。

 フランスは以前より、侵略し侵略されの繰り返しの歴史だったようで、他国や異民族に対して、国として神経質になっているらしく、他国からの移民に対する姿勢はかなり厳しい姿勢をとっています。特にユダヤ系やイスラム系の住人にとっては極右的な「犯罪と失業率は全て移民のせいである」という政治論理から、随分と辛い目にあっているようです、ちなみにジダンはイスラム系のアルジェリア移民。つまり弾圧される民族にありながら、ここまで英雄視される事はつまり、彼がどれだけフランスにおいて偉大な人物であるかを見る事ができます。本当、すごいんですねぇ。

 対してイタリアは、その地域特性から、南は北アフリカから、北はフランスまで、広く交易していた事もあり、様々な民族や文化が混ざり合って、多様な民族の複雑な混合体を形成しています。過去に都市国家や小公告等も多数存在し、そこで独自の文化を育てあげていった事も、その多様な文化性の要素の一つでもあるようです。

 

 

 両国とも、対照的な視点を持っていて面白いです。どちらが正しいかは解りませんし、サッカーにそんな国民性は余り関係は無いと思います。選手たちはただ、サッカーでNo1になりたいという思いを持って、戦いへと向かって行きます。その勝利を求める心のベクトルだけは、国も人種も関係なく、美しい物だと思います。