引越し | ◆今夜も枕投げ◆

引越し

 窓の外には道路を挟んで向こう側に、昼頃には子供達の遊ぶ姿が見える幼稚園。テープの貼り剥がしを繰り返して、あちこちでクリーム色の地肌が剥れた壁紙。4年前に会室移動をしてから、任せられたり失敗したり、逃げたり帰ってきたりしたり、そして何より今はもう学校にいない沢山の先輩達との思い出の詰まった会室とも、今日でお別れです。

 先日に一年の子達が頑張ってくれたらしく、僕が昼に会室を覗くと、運ぶ物が殆ど除けられ、残っているのはテーブルと椅子と、ほんの少しの雑貨だけ。がらんとした会室は、妙に白くて大きくて空っぽで、昔の重いですらそこには残ってないかのようでした。本来は真っ白なフェレットの縫い包みが体の半分だけ黒い埃に包まれて、部屋の隅に転がっていました。

 午後になって、一年から四年までの会員が、集まってきます。スーツ姿の四年生、ゼミと授業との往復が忙しい三年生。たった一人だけど頑張る二年生、これからを担ってくれる一年生。入れ替わり立ち代りそれぞれが、荷物を運んでダンボールを開け、本を出して並べて、荷物をまとめて整理して、時折先輩達の絵や写真を見つけて、上級生同士でちょっと懐かしがったりして邪魔になってしまったり。そんなこんなを繰り返していたら5時位には引越しは完了していました。

 現会長が、手伝ってくれた全員分に買ってきてくれたアイスを食べながら、楽しそうにしている皆を見て、最後の年になってこういった光景が見れる事に少しだけ幸せを感じました。