「メスで切った傷はくっつくのが早いんよ」 | ◆今夜も枕投げ◆

「メスで切った傷はくっつくのが早いんよ」

 「これもですか?」「それは違う!」

 

 違っちゃだめぇええ!

 

 突然ですが、手術を受けてきました。事の起こりは以前の日記参照。あの後しばらくたって、先生の予想通りまた出来物が膨れ上がってしまい、日を跨いで今度こそ手術をする事に。

 当日診察室に通されるといたのは、いつも口を見て下さる頼りなさげなおじさん先生と、もう一人しっかりしてそうな若い女医さん。今日はどうやらこの女医さんが手術を担当するとの事、ではこちらへどうぞ、と手術台に案内されました。

 簡単な手術との事で、手術を行うのはERでカーター先生が執刀しそうな心電図や呼吸器やロックを流すステレオもあるような、お馴染みの立派な手術室ではなく、診察室に簡単に組まれたミニ手術ベッドでした。普段診察で使うような、ねずみ色した固い皮の診察ベッドに、消毒されたガーゼが全体に敷かれ、その脇にはメスや注射器をはじめとしたいくつかの手術用具が並べられたアルミのトレイを乗せた移動式の台。手術未経験者の僕はこの光景だけで体が強張ります。それを見たのか、「安心してください、痛くはないですよ」

と声をかけてくれる。少しだけ気分が楽になりました。

 

 手術台に横たわると、口の部分だけ穴の開いた、青いシートを顔に被せられた、これで外の様子を窺い知るには、音を頼りにするしか無くなる。「殺菌してあるので、触らないで下さい」との事、両手が所在無いので、とりあえず胸の上に乗せる。金属音が響いて、準備が進んでいく事を耳で感じる。血を飲んでしまわないために、口の中に丸まったガーゼを詰められた。


 「それでは、はじめますね」


とりあえずつづく